先輩の彼女にしてもらいました
遠慮がちに私を抱きしめる先輩の背中に腕を回してギューッとしがみついた。

「大谷先輩は、何を我慢してるんですか?」

「うん、岳はキャプテンだし人一倍責任感も強いからね、自分のことなんてそっちのけで、この大会に全てを賭けてるんだ」

そうなんだ、そういえば大谷先輩に以前つばさ先輩とは別れて欲しいと言われたことがあったっけ。

もうずいぶん昔のことのように思えた。

あの時は彼が厳しくて怖そうな人だと思っていたけど、今では印象がかなり違う。

「でも、次の決勝戦に勝ちさえすれば全国行きは決定だし、そしたら岳も、告白できるから」

言いながら嬉しそうに笑う先輩の顔を見て私もつられて笑う。

つばさ先輩は、親友の大谷先輩が、大好きなんだろうな。
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