先輩の彼女にしてもらいました
「先輩、時田くんやめて、やめてください」

どうして、こんなことになってしまっているのか理解できないまま私は二人を止めようとするけれど、とても私の言葉なんて、届いていないようだった。

どうしょう、どうしたらいいの。

時田くんが、先輩のユニフォームを掴んで向かっていこうとしたので、先輩も時田くんの胸ぐらを掴む。

睨み合う2人を前にしてもう、ダメだっ、と思ったその時、

「つばさー、このバカー、なにやってんのよっ」

怒り狂ったような桜さんの声が私には天使の声にも聞こえた。

私が来た方向から、走ってきた、桜さんは文字通り、鬼の形相だった。

「あ、やべ、行かないと」

彼女の顔を見た途端に我に返ったようなつばさ先輩は取っ組み合っていた時田くんから、あっさり手を離した。

「時田、すまん」

無表情に言って先輩は私の方は見ようとはせずに桜さんのもとへ走り出す。

「先輩」

呼びかけたけれど、彼は振り返ってはくれない。


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