先輩の彼女にしてもらいました
「お前ら、なんだよっ、寄ってたかって蒼井をいじめやがって」

吐き捨てるように言う時田くんは明らかに怒っているようだった。

ああ、私は何度彼にこうやって助けられ庇われてきたことだろう。もう数えきれないくらいだ。

この時、恋人を庇おうとする吉木くんと時田くんの表情も行動も同じだった。

だから、気が付いてしまった、時田くんの気持ちはアキちゃんの言う通りなのかもしれないって。

同時に違っていたらどんなにいいのにって思った。

その気持ちに応えることが私にはどうしてもできないのだから。

「蒼井、もう気は済んだ?」

時田くんの優しい声に涙がでそうになるほど、ホッとした。

彼は私の絶対的な味方なんだ、どんな時でも。

「もういいよ、時田くん、行こう」

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