先輩の彼女にしてもらいました
先輩に誤解されたくないの。先輩に嫌な思いもさせたくない。

私は、身勝手でひどい。先輩のことしか考えられないんだから。

時田くんが、どんなに優しくていい人なのか、ちゃんとわかってるのに、傷つけたくなんてないのに。

「わかったよ、ごめんな」

私は時田くんの顔が見れなくて俯いていたから彼がどんな表情をしているのかわからなかったけれど、その声は少し震えていた。

彼はくるりと踵を返して部室のほうへ歩いていく。

「時田くん」

たった、あれだけの言葉でも、彼を傷つけてしまうんだ。だけどそれは、私の言葉だからだ。彼をこんなに簡単に悲しくさせてしまうのは私だからだ。

ダメだってわかっているのに、私は彼の後を追って駆け出してしまった。

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