先輩の彼女にしてもらいました
え、それは単に先輩とのあれやこれやを思い出してニマニマしていただけで。

優しい沙織ちゃんは、私を心配してくれているみたいだったけど、最近こうして二人で恋バナをして盛り上がっていて、なんだかもっと仲良くなれたような気がする。

「なんだかんだ言って、恋に悩んでるすずなちゃんも楽しそうなんだよね。いいなあ、羨ましいなあ。あれすずなちゃんスマホ鳴ってるよ」

「あ、うん」

私はポケットからスマホを取り出したけれど、着信中の画面を見てすぐに保留ボタンをタップした。

「もしかして先輩から?」

「ううん、違うよ。中学の時の友達から」

「あの陸上部の子から?でなくてもいいの?」

沙織ちゃんは心配そうに私を覗き込む。一瞬、私の表情が曇ったのかもしれない。

「うん、いいの、もう別に、私には関係ないから」

「ふーん」

沙織ちゃんは、その後の言葉を呑み込んだようだった。

私は沙織ちゃんにはわからないように、そっとため息をついた。








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