先輩の彼女にしてもらいました
放課後、テニス部の部活へ行く沙織ちゃんと別れて私も急いで、教室を出ようとして入口のところで、入ってきた誰かとぶつかってしまった。

「あ、ごめん」

「いって」

その男子の声に体が一瞬で凍り付いてしまう。

「お前のそれぶつかった」

「ご、ごめんなさい」

消え入りそうな声しかでなくて、顔が見れないけど相手が成田君だってわかってた。

事あるごとに、私の胸をからかってくる一番苦手な男子。

「んな、エロイもんぶつけてくんなよな」

「・・・・・・」

不機嫌そうに私をにらんでいるのは、見なくてもわかっている。

「お前、まだ、ブレザー脱がないの?」

「・・・・・・」

「なんでいっつも、口きかないわけ?こっちを見もしないよな」

「私、急いでるから・・・」

成田くんは、おい、待てよって言って私の肩を掴む。
そんな彼の手を強く振り払って、初めて睨んでいた。

あ、あれ?なんで、成田君

彼の顔は赤くて、怖い声とは、反対にちょっと困ったような顔だった。

少し不良ぽくて、がっちりした体格と鋭い瞳にいつもわたしは、ビクビクしていたけれど、よく見るとなんだか幼い顔だ。

私がこんな風に思うのは、つい誰かと比べてしまうからなんだと思う。




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