先輩の彼女にしてもらいました
体育館の横に建てられている体育倉庫は窓も小さく冷房もない。
この時期は、蒸し暑くて10分以上はとてもいられたものではない。
扉が半分開いていたが、一応ノックしてみた。
「蒼井さん、いる?」
中から、ハイって言う小さな声がした。
案の定、中は蒸し風呂状態だ。
「蒼井さん、どこ?」
倉庫の中に彼女の姿をすぐに見つけられなかった。
「せんぱーい、ここです」
奥の方から、弱々しい彼女の声がしたので、そちらに目を向けた。
彼女は、3メートル以上もある脚立に座りながら、備品整理をしていた。
目が合うと、俺は少し笑顔をつくった。彼女は、びっくりしたような顔をする。
ここ最近の俺は、彼女にこんな風に笑いかけてさえあげられなかった。