先輩の彼女にしてもらいました
ようやく、彼女のもとまで上がると、その震える腕を掴んで、小さな背中を支えるように抱いた。

「蒼井さん、もう大丈夫だよ」

「一緒にゆっくり降りよう」

「う、うん、でも動けません」

見ると、彼女は汗だくで顔が赤くて瞳もうつろだった。膝もガクガク震えている。

もしかしたら、熱中症になりかけているのかもしれない。

今日は特にひどい猛暑だと今朝のテレビの天気予報で見た。

「大丈夫だよ、ゆっくり一緒に降りよう」

「先輩」

彼女は、ぼんやりしながら手を伸ばしてきて俺の頬に触れた。

「これは、夢ですか?夢なら覚めないでほしい、先輩がやっと私のところに来てくれたから」

フニャッと笑ったかと思うと、彼女は泣き顔になってしまう。

ヤバイ、意識が朦朧としているみたいだ。
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