先輩の彼女にしてもらいました
よしっ。

恐る恐る、第2体育館の入り口からこっそり中を見る。ちょっと遠いから、もう少しだけと思って目立たないようにコソコソ歩く。

ダン ダン ダン ダン

あ、これは先輩のドリブルの音ではないな。彼のリズムならすぐにわかるんだ。

って、私って相当イタイかな。

早く早く先輩を見つけて、心の酸素吸入して、すぐに帰ろう。

見ると、ファンの女の子のグループは3つに分かれている。初めて見たときはわからなかったんだけど、ファンにも序列があるようで、古参のファンから奥の一番いい場所で応援しているのだ。

4月、なにもしらない始めの頃に失敗して一番いい位置のグループの後ろで、ぼんやり見ていたらすっごく睨まれた。

「あ、蒼井ちゃん、こっちこっち」

「あ、こんにちは。みどり先輩」

< 42 / 450 >

この作品をシェア

pagetop