先輩の彼女にしてもらいました
そのあと、桜さんが来てくれて私が寝ている間に着替えを置いて行ってくれたようだった。


目を開けた時に、誰かが手を握ってくれていた。

見ると、つばさ先輩だった。

先輩は私が寝ているベッドの横の椅子に座りウトウトしていたみたいだった。

上半身を起こして、先輩の寝顔にうっとりと見惚れていた。

先輩ずっとついていてくれてたんだね。

嬉しいな。離れたくないって思ったのが通じたんだろうか。

「寝顔かわいい」

安心しきったように無防備に眠る先輩の寝顔は、とても可愛らしくていつまでも見ていたいって思えた。

その無邪気で子供みたいな安らかな様子は、ここ最近の元気のない彼とは、大違いだった。

ベッドから起き上がるとそっと、彼のサラサラの髪を撫でた。

もう、彼にあんな辛そうな顔をしてほしくない。

出来れば、私が彼を守ってあげたいのに。だけど、私じゃ何の力にもなってあげられなかった。この先ずっと、何もできないのかな、私には。

このままじゃいけないのかもしれない。いつも誰かに守られるだけの存在じゃダメなのかもしれない。

いつか私が、彼を支えることが出来たら。

そんな漠然とした願望を抱きながら、スヤスヤと眠る彼の髪をいつまでも、優しく撫でていた。
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