先輩の彼女にしてもらいました
つばさ先輩が私の腕をつかんで引き寄せようとしたけれど、まだ、大谷さんと握手した手がしっかりと、繋がれていた。

「いつまで、繋いでんだよ、岳、放せ」

「はいはい」

大谷さんはようやく手を放してくれたけど、私は手汗をかいていたようだ。

ちょっと恥ずかしいなと思った瞬間、つばさ先輩がその手をそのままギュッと握ってしまう。

あ、手汗が、つばさ先輩に気づかれる。うそ、恥ずかしすぎる。

初めて、大好きなつばさ先輩と手を繋いだのにこんなのやだよー。

だけど、振り払うわけにもいかず、先輩の隣に引き寄せられた。

「ごめんな、こんなゴリラに話しかけられて怖かったろ」

つばさ先輩が心配そうに私をのぞき込んでくるので、ううんって首を振って目を伏せてしまう。

1週間ぶりに会う先輩が眩しすぎて目が合わせられない。




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