先輩の彼女にしてもらいました
「私、ずっと会いたかったです、テスト期間中だから部活にも先輩来てなくて。ラインにも、毎日、会いたいってメッセージ送ったんです」

先輩の腕にちょっとだけ触れて、甘えるように見上げた。

「そっかー、ごめんごめん」

ニコッと笑いながら頭の後ろをかく先輩の反応は軽くて期待はずれだった。

まあ、私に魅力がないのがいけないのかな。

「つばさー、早く練習もどってよ、岳が怒ってるよー」

体育館から、あの女子マネージャーさんが先輩を呼びに来たので、私は触れているだけだった先輩の腕にギュッとしがみついた。

さっき、彼女が先輩にそうしていたように、わざと彼にくっついていた。

「あ、桜、いまいく」

先輩は、また後でねと小さくささやいて私から離れようとしたけど、私は石になったように動けなくて先輩を放すことができなかった。

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