先輩の彼女にしてもらいました
「つばさ、桜ちゃん?」

ハッとした私は声のした方に振り返りびっくりした。

リビングのドアの前に、派手な顔立ちの大人の女性が立っている。

「あれ、姉ちゃんいたの?」

先輩は狼狽した様子もなく立ち上がって私の手を引いて立たせる。

「桜じゃないよ。俺の彼女で、1年の蒼井すずなさん」

「え。桜ちゃんじゃないの?あんた、いいの?大丈夫なの?」

「な、なにがだよっ。いいに決まってるだろ。もう桜とはちゃんと別れたんだから」

先輩は、私の方をチラチラ見て気にしながら、お姉さんに反論する。

「あんたいつも、そう言ってすぐに、また付き合ってんじゃないの。いい加減なんだから」

「おい、ちょっとやめろよ姉ちゃん、彼女の前だろ」

「本気なの?つばさ。え、すごく可愛い子」

お姉さんは、私を上から下までマジマジと穴のあくほど、見つめる。

< 96 / 450 >

この作品をシェア

pagetop