響くんとは付き合いません!!
バッグの中身を全て出してひっくり返してみても、そこにあるはずのサイフがない!
「どっかでサイフ落とした?」
必死になってカバンの中を漁る私の横で、響くんが心配そうな顔をしている。
「そんなはずは……」
ない、と思いたいのだけれど。
ショルダーバッグの中にはスマホと、メイクポーチ、鏡しかない。
「やっぱり落としたんだろ?」
「……そうかも」
もしかしたらあの時かな…。
カバンを開けたのは、動物園のトイレでささっとメイク直しをしたときだ。
メイクポーチをだしたときに、ポーチの上にあったサイフも一緒に出してしまったかもしれない。