響くんとは付き合いません!!
「ちょ、待ってよ響くん!」
呼び止めても振り返りもしない背中は、あっという間に私の視界から消えてしまった。
はぁ……。
なんで私ってこうもドジなんだろう…。
響くんに迷惑をかけてしまって…。
本当に申し訳ない……。
「ない……」
ゲートから近くの女子トイレには、個室の中はもちろん洗面台のところにも財布は見当たらなかった。
まぁ薄々、そんな予感はしてた。
たくさん人がいる中で落とした財布が、あれから30分以上たった今も拾われてないんだから。
たぶん、誰かに取られたんだろうなって思ってた。