はつ恋の君をさがしてる
どうしよう……大丈夫なんて言ったけど、大丈夫な気がしない……

休息時間に知ったとんでもない事実に私は怯えきっていた。

でも逃げられない。

そもそも入社してから1度も献血に協力していないのだし、嫌だなんて言える立場じゃないよね……
年に1度の社内の健康診断でさえ恐怖で、何日も前から頑張れ!と自己暗示的に自分に言い聞かせてやっと採血に挑んでいるのだ。
それでもダメで毎回芽衣子に付き添ってもらってるのに……。

いきなり今日の午後だなんて…ムリだよ……

つい先日、高嶺さんの目の前で過呼吸起こした一件を思い出して、さらに青くなる。
会社ではあそこまでの事はまだやらかしてないけど……あぁ……困った。

頭の中はパニックだったが、仕事はしなくてはいけない。
私はひたすら仕事をすることで不安を追いやることにした。

なんとか昼休みまでは頑張った。
芽衣子は何度も私に謝りながら帰っていった。
いちを事情は須藤さんに話してくれていて、昼休みが始まってすぐに須藤さんがどうしても無理なら体調不良とかで戻ってきなさい!と言いに来てくれた。

私は芽衣子から渡された名簿の最後の自分の名前を睨みながら持参したお弁当を食べていた。

そこに、あの三人組が現れた。

「献血に立候補されたんですってね~」
「しっかりお弁当食べてせいぜい頑張ってくださいね~」
「私たちは前回百合子さんと協力してきましたから~まだ1度もしたことがないらしいですし~これもお仕事ですから。ねぇ?」
三人組がそれぞれひと言ずつ発言して顔を見合わせてケラケラ笑いながら去っていくのを、私は確信に満ちた視線で見送った。

間違いない!やはりあいつらの仕業だ!
でも証拠はない。

正直腹が立つが、言われたことに間違いはない。
これも仕事の一部なのだ。
もはや割りきるしかない。
仕事だと思って我慢だ!頑張れ私!
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