はつ恋の君をさがしてる
ついに時間だ……。

できるだけ迷惑をかけたくなくて、献血時間の最後になるように調整して事務室を出た。
事務室を出るときにあの3人が笑いながらてをヒラヒラと振るのが見えてムカッとした。

正面玄関に横付けされた献血車はロビーからも丸見えで、目にした途端に緊張でドキドキしてくる。
それをなんとか自分で宥める。

大丈夫!これは仕事!仕事なんだから大丈夫!

何が大丈夫だよ!私の中の黒い私がツッコミをいれてくるのを無視して、正面玄関の扉を開ける。

献血車のすぐ前に受付と書かれた簡易なテーブルがあり、そこに座る白衣の女性に名前を告げると、軽く問診をされて車内に案内された。
入ってすぐに献血が終わったらしき同期の中野くんとすれ違う。
彼も私の病院嫌いを知ってるから、かなり驚いた顔をされた。
「えっ?澤田?なんで?大丈夫なのか?」
焦ったような中野くんの言葉に近くにいた看護師さん達まで驚いている。
「中野くん!静かに!大丈夫だから…」
私はあわてて中野くんの背中を押して車から降ろす。
中野くんに余計なことを言われては困る。
納得いかない表情ではあったものの、中野くんは何も言わずに去っていった。
それにホッとしていた私だけれど、問題はこれからだった……。
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