はつ恋の君をさがしてる
献血車から降りて正面玄関に向かって歩きだしたところで浅田さんに呼び止められた。

「注射苦手なのに、献血してくれてありがとう。あとで気分悪くなったりとかしたら必ず病院行ってね!献血したこと言うんだよ!じゃぁお疲れさま~」

浅田さんは手を振りながら献血車に乗り込んで帰っていった。

ついついそれを見送ってしまってあわてて事務室にもどった。

「遅くなりました。」
須藤さんにだけ戻ったことを報告して席に座る。

終業時間まではあと一時間ほどだ。

私は残りの仕事を片付けようと机上の書類の山に向き直る。
半分以上片付けてから献血に行ったのに、戻ってきたら増えている気がする……
これも嫌がらせの一種かな?

仕方ない、頑張ろう。
どうせ今夜高嶺さんは病院だし、残業しても困らない。

気持ちを切り替えて仕事をすることにした。

しかし……定時で大半の人が帰った後に身体に異変を感じ始めた。
なんだか異様に怠い。

なんでだろう?
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