はつ恋の君をさがしてる
ポツリと頬に涙とは違う雫が落ちた。

見上げると曇天の空から静かに雨が…。

「空まで私と一緒にないてくれてるのかな?」

なんてメルヘンなことを考えていたら、雨は勢いを強めてあっという間に優しいシャワーからどしゃ降りレベルにシフトした。

座り込んだままだった私は立ち上がる気力が湧かなくて、ぼーっと空を見上げていた。

「見つけた!何やってんだ!このバカ!!」


「バカじゃないもん!バカって言う奴がバカなんだもん!」

反射的に言い返したら頭上に傘と焦った顔の高嶺さんが現れた。

このバカ!

高嶺さんはもう一度そう言うと、座り込む私を無理やり立たせて傘を押し付ける。

仕方なく傘を受けとると……。

うひゃ!?

いきなりで変な声が出た。

高嶺さんが笑う。

私は高嶺さんにまたしても抱き上げられていた。

今度は荷物みたいにじゃなくて…

いわゆるお姫さま抱っこ。

乙女の憧れるやつだ!

もちろん私だって…でもコレかなり恥ずかしい。

だってドキドキする

それに…高嶺さんからすごく良い匂いがする。

大キライな病院の臭いもするのに…。

そっと高嶺さんの胸に額を押しつけてみたら、頭上から高嶺さんのふっと笑う気配がした。

そして私の意識は本日2度目のブラックアウト……。
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