はつ恋の君をさがしてる
「良かった。鈴加ちゃんやっと浮上したみたいだね。」

ホッとしたと言う感じの顔つきで平原さんが話を続けていいか?と聞いてきた。

私は素直にうなずいて平原さんが座るイスの向かいに座り話の続きを促す。

「鈴加ちゃんにとって、これはちょうど良い機会じゃないかと思うんだよ?ひとつ提案したいんだが、高嶺と結婚しないか?」

「え?……あの…すいません。なんでアパートから引っ越す話が高嶺さんとの結婚に繋がるんですか?」

恐る恐るではあったけれど、これは流されずにきちんと説明してもらわなくてはいけない。

「いやぁ…ずいぶん前から考えてはいたんだけれどね~鈴加ちゃんは今時珍しいくらいに真っ直ぐな良い子だし、仕事以外は不器用で抜けてる高嶺には鈴加ちゃんみたいな子がそばに居てくれると良いなぁと思ってね?」

……。

「そしたら大家さんからアパートの事で相談を受けてね。これはそう言うタイミングかなぁと思ったんだよ。」

「それに、鈴加ちゃんを知らない奴の嫁にやるのは気が進まない!」

「だから、よく知っている自分の息子が適任だと考えたわけだよ。鈴加ちゃんのことは私がご両親に代わって幸せになるのを見守りたいからね♪」

平原さんはそう言うと最後に、よく考えてから返事をしてほしい、と言って高嶺さんを促して部屋を出ようとする。

高嶺さんはちょっと躊躇した様子だったけれど、私の体調を気遣う言葉をかけたあとに、また来ると言い捨てて平原さんに連れられて帰っていった。
< 50 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop