はつ恋の君をさがしてる
「おい?立てないほど痛いとこでもあるのか?」
高嶺さんが目の前しゃがみこんで私の頭を撫でる。
気持ちよくて大きな手につい頬を寄せてしまった。
そんな自分にびっくりして距離をとろうとみじろいだが、高嶺さんの手が背中に回ってそれを阻止する。

「何考えてる?まさか今さら俺と暮らすのが怖くなったとか言わないよな?」

図星だった……まさにドンピシャ。
そう思ったのが顔にも出ていたらしい……
高嶺さんはニヤリと口の端だけを器用に上げて笑うといきなり私を抱き上げて立ち上がった!

「ちょっ……ちょっと!!歩けます!おろしてください!」

私がバタバタと抵抗しながらそう言っても高嶺さんはがっちりと抱えていて離してくれない!

「おとなしくしてろ!落ちたらケガするぞ?それにお前、今降ろしたら俺から逃げるだろ?だから降ろさない!」

そう言うとスタスタとマンションのエントランスに向かって歩いていく。
私は身動きすらできないくらいに強く抱きしめられて息が止まりそうだった。
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