恋人3ヶ月
序章
私の夢はいつか、ここから抜け出して幸せになる事。
素敵な彼氏、立派な自宅、豪勢な食事、働かなくても降ってくるお金…。
沢山の贅沢に囲まれて、一生不自由のない生活…
あぁ、考えただけでヨダレが出ちゃう。

ーーー♫♩♫

「あ、着信」
誰よ誰よ、妄想をぶち壊すのはどこのどいつ。
とか言って大体予想はついていて、
着信画面を見て(ああ、やっぱり)とゲンナリしながら電話に出る。

「はーいもしもし」
「あ、のんちゃん?着いたよ〜!」
「わかりましたー。今出ますね」

電話を切り、準備していたポシェットを肩にかけ、
家を出る。
家の前には軽自動車が1台停まっていて、
その運転手がさっきの電話の相手だ。
すぐに車に乗り込む。

「お疲れ様でーす。今日予約ありますか?」
「お疲れ〜!予約はまだないけど仕事はあるよ〜!
今から向かうからね!」
「はーい」

“予約” “仕事”
察しのいい人はわかるかもしれないけど
私の仕事はデリバリーヘルス。
その名の通り、デリバリーされるヘルスで、
まあ所謂デリヘル嬢。

この運転手は、デリヘル嬢を送迎するためにいる。
その運転手に、今からどこかしらの客の元へ運ばれるわけ。
今日はどんな客だろうか。
歳上?性癖持ち?挙動不審?
嫌だなぁ、好きでこの仕事してるんじゃないから…。
よし、寝よう。目的地まで現実逃避……
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