眩しさの中、最初で最後の恋をした。

幼なじみだから気心知れてるものね。
そんな風に観察していると、彼の横にいたサッカー部の部長さんに声を掛けられる。


「汐月さんは、初めましてだよね!俺は水木蒼!こっちは松島要。瀬名さんと要とは一年の時に同じクラスだったんだ、よろしくね!」

ウインクと共に投げかけられた言葉は、元気がいい。
しかし、ウインクが様になるとは……。
リアルイケメンって凄いな!と驚きを心の内に留めつつ返事をした。

「初めまして、汐月有紗です。日菜子とは去年から同じクラスで、仲良くなったの。よろしくね」

結局思わず笑ってしまいつつ答えると、松島くんが顔を顰めながら水木くんにひと声掛けた。

「お前、ウインクしながらは無いだろ?チャラい、チャラいぞ」

溜息をつきつつ、呆れ顔で言う松島くん。

「本当に、水木くんはキレイ系に目がないのね?有紗は渡さないわよ?」

同じテンションで言葉を連ねる日菜子。
幼なじみの二人が息の合うテンポで会話している。

「えぇ!?いや、俺そんなつもりないからね?汐月さん!」

それを受けて、私に誤解されるとまずいのか。
水木くんの弁解には必死さが溢れてて、更に私の笑いのツボをついた。

「ふは!大丈夫、分かってるから!」

この教室に入ってきた時から、水木くんの視線の先は日菜子だった。
彼は分かりやすい程に分かりやすい。
日菜子と同じ素直なタイプだ。
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