眩しさの中、最初で最後の恋をした。
そう私が言うと、茜がパッと顔を上げて私を見て言う。
「そういうの、出来るの?」
「ちょっと刺繍を入れたり、破かないで綿をくっつけて飛び出してる風を装えば良いかなと思ったから」
私の言葉に茜がホッとため息をついて、返事をした。
「そんな感じでお願いしていい?」
「もちろん、大丈夫よ」
答えて私は自身の裁縫道具から、針と刺繍糸を出して準備する。
私は覚えていた。
この少し汚れてしまったクマは、茜の小さな頃の大事な相棒だった。
可愛らしい茜が抱っこして離さなかったクマ。
「これが終わったら、綺麗にしてしっかりメンテナンスしてあげるからね」
クマに語りかけるようにしつつ、茜に告げる。
茜は驚きつつも嬉しそうに笑った。
クマのお腹に縫い跡の刺繍と、その傍にフェルトニードル使い綿で形を作ると飛び出したと見えるように少し端を縫うことでくっ付けた。
見た目少し痛いクマさんの完成だ。
所要時間二十分の早業に少し離れて戻って来た日菜子が驚いている。
「え?もうクマのアレンジ終わったの!?」
「うん、ほら有紗がやってくれたの!これならお化け屋敷に飾られてて問題なさそうでしょ?」
「うん!なかなかいい雰囲気出しそうだよ!」
ふたりのテンションの高さに、蒼くんと要くんも見に来てクマのアレンジに少し驚いていた。