眩しさの中、最初で最後の恋をした。
校舎の中も人が多いので、私と要くんは少し静かになれる場所へと行くべく立ち入り禁止の屋上へと続く階段へと向かった。
「ここに居れば、しばらくは静かに居られるかな?」
「今日みたいな日は早々ここに人は来ないだろ」
ふたりで、そこの階段に座ると笑い合った。
「まさか、飛び入りさせられるとは思わなかったよ」
「そうだな。俺は放課後の歌姫の正体にびっくりしたけどな」
その言葉に肩を竦めてチラッと顔を見れば、要くんは怒っている訳ではなく優しい顔をしていた。
「手先も器用で、勉強も出来て、歌も上手くて可愛らしい。死角なしだなぁ、俺の好きな人は」
柔らかい顔で紡がれた言葉は優しさと気持ちが溢れている。
私は、胸がキュッとなってドキドキして少し苦しい。
「有紗。俺は有紗が好きだよ。優しくて、大切な事はしっかりしてて。沢山出来ることがあって、でも時々遠くを見てる。そんな有紗に惹かれたんだよ。放課後の歌姫の歌も好きだ」
そんな重ねてくる言葉は、真っ直ぐで嘘がないのは声にも顔にも出ていてわかる。
嬉しいのに、私は私の事情で要くんの優しさに飛び込むことに二の足を踏んでる。
「なぁ、もし今日お互いにミスとミスターに選ばれたなら。俺と付き合ってくれないか?」
私は要くんを見れば、要くんは私を真っ直ぐに見つめていた。