眩しさの中、最初で最後の恋をした。

ティアラをのせてもらうと、周りもワーッと湧いてきてテンションが高い。

「おめでとうございます!」
「お似合いだよ!」

という声掛けから、男子の要くんへのヤジが飛ぶ。

「ここまでやったんだ、しっかりやれよ!」
「頑張れ、松島!」
「たく、憧れのマドンナはイケメンがかっさらうのがお約束かよ!」

言葉強めであっても、それを言ってくる顔は明るくて僻みではなく応援なのがわかる。

私たちは顔を見合わせて笑いあった。

「この後、話す時間をくれる?」
「大丈夫。ちゃんと聞くよ」

この後周りからいっせいにフラッシュをたかれながら写真を撮られたのだった。

発表が落ち着くと、恒例のフォークダンス。

私たちは少し離れた場所から見ながら話を始めた。

「私ね、ずっと恋はしない。しちゃいけないと思ってきたの」

この私の言葉はいきなりで唐突。
少し面食らった顔をしつつ、要くんは続きを促す。

「うん。それで?」

「それには私にとって重要な事が絡んでくるんだけれど、それはまだ上手く説明できる自信が無いの……。」

一度言葉を切って、俯いていた顔を上げて要くんを見て言葉を続ける。

「ただ。出来ることが出来なくなったり、出来ない事が出来たりするようになるものだろって要くんの言葉が私に響いたの。目からウロコだった」

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