眩しさの中、最初で最後の恋をした。

私と要くんで話し合った結果、近場だからこそあまり行かなかったよねと言う話になり電車で一本。
県庁所在地にして観光地を今回は選んだ。
絶景スポットあり、グルメ、ショッピングスポットあり、更には遊園地まである都会だ。

お昼前には現地に行き、そこの中華街でお昼を食べてブラブラ散歩して、その後ショッピングモールからの遊園地で観覧車というコースを組んだ。

初めてのデートに楽しみな気持ちが大きく、私は週末まで終始浮ついていたと思う。

だから、ゆっくりとだが確実に進んでいる症状にはまだ気づけていなかった。

週末、デートの約束をした土曜日。
朝からクローゼットと鏡の前でアレでもないコレでもないと着ていく服を選んでいると、ドアがノックされて声が掛かる。

「有紗!入るよ」

声を掛けてきたのはお姉ちゃんで、その手にはメイクボックスとコテが握られている。

「初めてのデートでしょ?綺麗にしてあげるわ!あ、服はこれとコレで合わせて私の低めのブーツ履いて行きなさい。歩きやすいから貸してあげる!」

お姉ちゃんが選んでくれたのはキャメルのニットと焦げ茶のフロントボタンのチェックのロングのフレアスカートだった。
今年らしく少し落ち着いた大人っぽいコーディネート。

「うん、コレにする!」

そうして慌てて着替えると、私を椅子に座らせて髪をいじり始める。


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