眩しさの中、最初で最後の恋をした。
お姉ちゃんがいじり始めた髪はあっという間にゆるふわカール。
それを更にゆるく右側にまとめて流し、そこを可愛らしいパールとリボンのバレッタで留める。
髪型が決まると、次にすぐさまメイクボックス開けてメイクを始める。
下地とフェイスパウダーを叩かれたあとに、アイシャドウとチーク、唇にはグロスを乗せられる。
ブラウンに差し色はオレンジの秋らしいナチュラルメイクが施され、服装と合わせて少し大人になった感じだ。
「やっぱりお姉ちゃんは凄い!」
鏡で仕上がりを見て、思わず声をあげればお姉ちゃんは胸を大きく張ってドヤ顔を決める。
「お姉ちゃん、そこそこ腕のいい美容部員だし!彼氏美容師だもの」
昔から器用で色んなことを上手く出来るお姉ちゃんは私の憧れ。
今もってそう、だからギューって抱きついてお礼を言う。
「お姉ちゃん、朝の忙しい時間にありがとう!コレで少しは自信を持って出かけられそう」
私の言葉に目を丸くしたあと、お姉ちゃんは言った。
「元々の有紗が可愛いからメイクも服装も映えるのよ!自信持ちなさい!有紗は私の妹なんだから」
ウィンクひとつを投げて、お姉ちゃんは道具を片して部屋を出ていった。
改めて鏡を見る。
そこには少し大人びた私が映る。
「首元が少し寂しい?」
そう思った私は、日菜子や蒼くんたちと出かける時にお姉ちゃんから貰ったネックレスをつけた。
今日もお守りがわりだ。