眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「お揃いで持つの?」
「うん、そんなに高くないけれど。有紗とお揃いのものが欲しいなって思って……」
要くんは、私の返事を待っている。
「私も、お揃いの物欲しい」
私の返事にホッとした顔をする要くんに、繋いでいた手をキュッと握るとリングの並ぶスペースを一緒に見る。
ふたりでアレでもない、これでもないなんて見ているとお店のお姉さんが声を掛けてくれた。
「可愛らしいカップルさんだね!少し幅がある物選んでくれれば今日は混んでないからすぐ刻印してあげるよ。うちで買ってくれたものなら刻印無料だから、どう?」
そのお姉さんの提案に私と要くんは顔を合わせて微笑むと、お姉さんに返事をした。
「それ、お願いしたいです!」
「お!じゃあ選んでね」
そうして、あれこれ悩んでいた中から幅が広めのシンプルなシルバーのリングを選ぶ。
レジに持っていくと、お姉さんが対応してくれて彫る文字をどうするかと聞かれた。
すると、要くんは決めていたのかすんなりと答えた。
「大きい方にはA to Kそれと今日の日付を、小さい方にはK to Aと今日の日付でお願いできますか?」
それにお姉さんは素敵な笑顔で答えてくれた。
「かしこまりました。十分ほどで仕上がりますので店内でお待ち下さい」
そうして待つこと十分。
お姉さんから声がかかり品物を受け取ってお店をあとにした。
私もお金を出そうとしたけれど、要くんに止められた。