眩しさの中、最初で最後の恋をした。

「要くんに話すのは不安もあったの。もしも、この時間が無くなってしまったら……。それは嫌だと思ったら、上手く言い出せなかったの……。ごめんなさい」

そんな会話をして、その日私達はしっかりと手を繋いで歩き私を家まで送ってくれた。
家で出迎えたお母さんは、少し驚いていたけれど要くんも迎え入れてくれた。

家で今日要くんに病気の事を話した事を伝えると、今までどんな友達にも話してこなかった私を知る両親は驚いたけれど、話せるくらい大切な相手に出会えた事を静かに喜んでくれた。

「今まで知らなくて、ちゃんと出来なくてすみませんでした。これからは出かける時は迎えに来て、帰りもここまで送ります。だからふたりで出掛けることを許してもらえませんか」

要くんは私の両親を見つめて頭を下げてお願いしていて、私と両親が慌ててしまった。

「要くん、有紗の事をしっかり考えてくれてこちらこそありがとう。君はしっかりしているし、こうして有紗の病気が分かったらしっかり送ってくれた」

そうお父さんが言ってお母さんと顔を合わせると、優しく微笑んで続きを言った。

「要くん、そんな君なら安心して僕らも有紗が出掛けるのを送り出せるよ。これからも有紗と仲良くしてくれれば僕達は嬉しいよ。ありがとう」

こうして、イブの日から我が家の方では要くんとのお付き合いは家族公認となったのだった。

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