眩しさの中、最初で最後の恋をした。

そんな現在は大晦日の午後11時。
今日しっかり約束通り我が家まで迎えに来てくれた要くんは、私の親やお姉ちゃんにもしっかり挨拶をして連れ出してくれた。

今日は学校の最寄り駅のそばでやる、カウントダウンの花火を一緒に見る約束なので、出掛けるのはこの時間だ。
一緒に年越しを過ごせることが嬉しい。
そして、初めての彼のお家に行くので少し緊張している。

この約束もあの日、我が家でしたのだ。

「カウントダウンの花火っていつも音しか聞けないんだよね。多分見れる機会は今年だから見に行きたいな」

ポツリと零した私の言葉に、両親は少し難しい顔をした。
かなりの人混みなので、今の私には結構厳しい場所なのは私にも分かっていた。

すると、要くんが言ったのだ。

「それなら俺とまた一緒に花火を見よう。迎えに来るし送ってくから大丈夫だよ。それにその花火、俺の家からよく見えるんだ。だから家においでよ」

そう言われた。

「車の免許も取れて、運転も慣れてきたから。その日は車で迎えに行って、帰りもちゃんと送るから」

その言葉を聞いて両親は、うなずきあってお母さんが言う。

「要くんの案が安心だわ。有紗、それなら出掛けていいわよ。要くんの親御さんが良いって言ってくだされば」

その言葉に要くんはうなずくと、その場で電話をかけて聞いてくれて、了承の返事が来た。

なので、現在初めて彼の運転する助手席に座っている。
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