眩しさの中、最初で最後の恋をした。

ドキドキしながら乗り込んだ車は、順調に進む。
要くんの運転はまだ、初心者マークなのだけれど本人の性格もあるのか丁寧で乗っていて不安になることは無かった。

「有紗とこれからも出かけるためには、バイトして自分の車が欲しいよな。頑張ってお金貯めるから」

今日運転してきてくれた車はお父さんの車だそうで、今は休日に使わない時に借りて運転しているのだと言った。

「初めての訪問がこんな時間になって、よく来てもいいよって言ってくれたよね。ちゃんとご挨拶しなきゃ」

緊張した面持ちでいる私に、要くんはクスリと笑うと大切な事を話し始めた。

「有紗には話してなかったな。うちの親なら大丈夫だから。有紗のことちゃんと分かってくれるよ。俺の母さんさ、俺を産む前に病気で耳が聞こえなくなったんだ」

その言葉に隣で運転している要くんを見つめると、要くんは前を向きつつ私の髪をサラッと撫でて言葉を続けた。

「だから、病気で出来てたことが出来なくなることに関しては母さんはよく知ってるんだ。有紗の気持ちが一番理解できるかもしれないな。だから心配しなくていい」

そうした話を聞きつつ、車は住宅街の一軒家へとたどり着く。

車をうちの前の駐車スペースに丁寧に停めると、私がシートベルトを外す間に降りた要くんがドアを開けてくれた。

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