眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「要からは少ししか聞いていないんだけれど、この先君の目が見えなくなってしまうと……」
お父さんが少し口を濁しつつ聞いてきたので、お母さんも向かいのお父さんの隣に座ったところで私はゆっくりを意識して話し始めた。
「小学生の時。いきなりそれまで良かった視力が下がって視野が狭くなりました。それをなんとか親に伝えると病院に連れていかれて検査を受けたんです」
下を向きそうになるのを必死に下げないように話す。
口元が見えなければ、お母さんには分からないから。
「その検査の結果ついた病名が優性遺伝性視神経萎縮という難病で治療法が無い病気でした。発症は小児期、そこから徐々に視力低下が進行していき最後はぼんやりとしか見えなくなっていく、そういう病気です」
そう話すと、要くんの御両親は顔を見合わせてその後にお母さんが聞いてきた。
「今はどんな感じなの?」
その問いに私は隠すことなく、今の自分の状態を話した。
「だいぶ進みました。今はピントを合わせるのも大変だしそれを続けられる時間が短くなりました。周囲のぼやける感じも強くなってきてます」
私の言葉にお母さんは、立ち上がり隣に来てキュッと手を握ってくれた。
「私はね、高熱の後にいきなり聞こえなくなったのよ。それもショックだったけれど、大人だったし結婚もして支えてくれる相手もいたわ」
そこからまた、ひとつ息を吐くとお母さんは言った。