眩しさの中、最初で最後の恋をした。

「小さな頃からゆっくり進んでいく症状なんて、日々不安に晒されてるのと同じよね。どちらも苦しいけれど、有紗ちゃんは病気が分かってから毎日頑張ってきたのね」

そのお母さんの優しい言葉で胸がいっぱいになって、自然と涙が流れてきた。
そんな私を見て、要くんとお父さんは優しい顔をしていた。

「頑張って受け止めて、そうして過ごしてきたから有紗ちゃんは真っ直ぐいい子に育ったのね。それはご家族と、なにより有紗ちゃん本人の努力よ」

そして、目線を合わせてニッコリ笑うとお母さんは言った。

「これからは要も、私達も有紗ちゃんの味方よ。これからいつでもいらっしゃい」

泣きながら、私はうなずくことしか出来なかった。
優しさと温かさで胸がいっぱいだったから。

泣き止んで落ち着く頃には、そろそろ花火が上がり新年を迎える時間になったのでみんなで庭に出て見ることにした。

要くんの家は高台の開けた場所にあり、花火が上がる予定の場所まで良く見えた。
いつも歩く駅の周りの明かりも輝いていた。

そして、遠くからかすかに聞こえるカウントダウンの声とともに大きく花火が上がった。
冬に見る花火は夏に見た時よりもぼやけてしまっていたけれど、大切な人と共に見られた花火はやっぱり綺麗に輝いていた。

「明けましておめでとう。今年もよろしくお願いします」

笑顔で伝えた私に、要くんも繋いでいた手にキュッと力を込めてから言った。

「明けましておめでとう。今年も、この先もずっとよろしく」

そんな言葉を言った要くんは晴れやかな顔をしていた。

私たちのやり取りを御両親は優しく見守ってくれていた。
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