眩しさの中、最初で最後の恋をした。
六月 梅雨の合間のダブルデート
中間テストも無事に終えると、つかの間日常の学校が戻ってくる。
テスト期間って、学校も学生も先生も少しピリッとしてて空気が違う。
それが緩んで流れていくのが普段の学校。
行事になるとまた雰囲気は変わる。
そんな空気も私はまた肌で感じ、記憶として焼き付けようといろんな風景とその時をじっくり眺めて過ごす日々。
だからかな、最近日菜子と蒼くんが良い雰囲気なのも感じ取ってた。
日菜子の事が大好きだし、なんかちょっと取られた気分になっちゃうけれど……。
友達が好きな人と想い合えるようになるって、素敵な事で幸せな事だよね。
私は、それを諦めてしまったから……。
眩しくて、羨ましくなるけれど。
でも笑って見守れるから。
「早く二人の口から良い言葉が聞けるといいな……」
楽しそうに話す二人の向こうにある窓の外は、どんよりとした空。
季節は梅雨へと移ろっていた。
「有紗、これ集めろって」
そう声を掛けてきたのは、要くん。
要くんは今日の日直。
前の英語の先生に小プリントの回収を任されていた。
「ごめん、すっかり忘れてた!はい」
そう差し出すと、しっかり受取ったあと私をじっと見てくる。