眩しさの中、最初で最後の恋をした。

夕方、今日は人数が多いのでお母さんはカレーにしたらしい。
お母さんはちょこちょこと色んなカレーを作る。
オーソドックスなのからシーフードカレー、チキンカレーにキーマカレー。
どれでも美味しく作ってくれる。
今日はチキンカレーらしい。
要くんが来るからいつもより量多めで、それは楽しそうに作っている。

「お母さん、なんか楽しそうだね?」

そう聞いた私にお母さんは言った。

「要くん、あんなにほっそりしてるのによく食べるでしょ?ご飯の作りがいがあるのよ!男の子はやっぱり食べる量が違うわね」

娘がふたりの我が家は確かにそんなに一人ひとりが量を食べない。
そんな中で、元気に沢山食べてくれる要くんにご飯を作るのが最近すっかり楽しくなってしまったらしい。

要くんはアルバイト先の引越し屋さんで体力を使ってるからか、元からよく食べていたけれど、最近はさらに多く食べている。
その食べっぷりがまさか、お母さんをこんなに喜ばせるとは。

「宏樹くんもよく食べるけど、やっぱり高校生男子は違うわね!男の子のお母さんが大変って言ってたのが分かったけれど、お母さんからしたら楽しいわ」

料理が好きなお母さんは、美味しいと沢山食べてくれる要くんや宏樹くんが来る時はとっても張り切ってご飯を作っているのは、そんな理由からみたいだ。
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