眩しさの中、最初で最後の恋をした。

三月 新たな門出。それぞれの未来へ


まだまだ寒い三月初旬の初めの土曜日。
そこが卒業式の私達は三月になってすぐ、卒業式の練習に久しぶりに学校に行った。

お母さんが送っていこうか?と言ったけれど、それを聞いてた要くんが朝迎えに来て帰りも家まで送り届けるからと言ってくれた。
お母さんは、要くんに任せることにしたようだ。

朝早くから学校とは真逆の我が家に来て登校なんてと思ったけれど、要くんは家に迎えに行って一緒に登校をしてみたかったんだなんて可愛いこと言った。

それを聞いてたお姉ちゃんとお母さんには、有紗は幸せ者ねと言われたのだった。
私も、とても幸せだと思う。

そうして迎えた登校日。

「おはよう、有紗」
「おはよう、要くん」

朝、迎えに来てくれた要くんと一緒にバスと電車を乗り継ぎ、駅を降りたら徒歩でしっかりいつもと同じ道を歩いて学校へとたどり着いた。
この不明瞭な視界で歩くのは、実はかなり神経過敏になって疲れる。
けれど、久しぶりの外の空気と絶対に離れず着いていてくれる要くんがそばにいる事でいつもよりは少ない疲労感で学校へと着いたのだった。

少しざわつく周りを気にせず、私と要くんは昇降口の下駄箱まで着くと要くんが私の上履きを取ってくれて、脱いだ上靴をしまってくれた。

「ありがとう、要くん」
「履けるか?」
「大丈夫」

そんな会話を周りが遠巻きに見ているのは、私には見えないけれど空気は感じた。

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