眩しさの中、最初で最後の恋をした。
教室に着くと、私たちの姿に一瞬ザワっとした。
「おはよう。松島、汐月さん。相変わらず仲がいいな!」
「おはよう」
そう返事をして、自分たちの席に着く。
椅子や机を手で触りながら確認して動く私に、教室の空気がシーンとする。
みんなからどうしたらいいのか分からないという空気を感じた。
そんな中で、私たちのそばに来て口を開いたのは日菜子だった。
「有紗?なにがあったの?自由登校の間に有紗はどうしちゃったの?」
日菜子が不安と心配に揺れる声で聞いてきた。
「久しぶりに会ったら、突然こんなんでびっくりしたよね。ごめんね、もっと早く話しておけばよかったんだけれど。皆、それぞれ忙しい時期だったからね」
私が苦笑しつつ言うと、日菜子は戸惑いながら聞いてくる。
「有紗。目が、見えてないの……?」
その問いにうなずいて、言葉を返す。
「明るい、暗いとか。近くなれば何かあるとか誰かいるのは分かるけれど。人の顔やハッキリと物を見る事は出来なくなっちゃったの」
私の言葉にクラスメイト達が息を呑む音が、静かになった教室に響いた。
「少しずつ視力低下が進行していく、そういう病気なの。だからこうなる事は、ちゃんと分かってたんだよ」
私はきっと今、少し困り顔をしながら話してるだろう。
そんな私を励ますように、私の肩に要くんの手が乗る。
「要くん、ありがとう。大丈夫だよ」
そんな私たちのやり取りをクラスメイト達は見守っていた。