眩しさの中、最初で最後の恋をした。
そこに、担任の三浦先生が入ってくる。
「おう、お前ら久しぶりだな!うちのクラスは受験組も就職組も無事に進路が決まったな。おめでとう」
その言葉に、みんな声を詰まらせて静かになる。
「なんだ?喜んでみんな元気だと思ってたが、違ったか?」
教室の様子に先生が戸惑う声を出すので、私は立って声を出した。
「先生、すみません。私の事で少し雰囲気を悪くしてしまいました」
そう話すものの、私の視線はどこにも合わない。
その様子を見た先生が、驚きつつも聞いてきた。
「汐月、病状悪化したのか?」
「悪化というか。お医者さんが言っていた通りに進行したって感じでしょうか」
苦笑しつつ話す私と先生のやりとりを、クラスメイト達は見守っていた。
「汐月、それなら今から話してみるといい。病気のこと、今の汐月の事を」
その案に従って、私はサラッと話すことにした。
「私の病気は遺伝子からくるもので、病名を優性遺伝性視神経萎縮といいます。これは角膜や網膜は問題なくて視神経がゆっくり萎縮していく病気で……」
どう話すのがいいのか、少し考えるとまた話を続ける。
私の声にクラスメイトがしっかり耳を傾けてくれているのは、空気感から感じ取っていた。