眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「それにより視力低下をしていって、最後の方には視野の欠損なんかもありつつ、ぼんやりとしか見えなくなる。そういう病気で遺伝子の病気なので先天的なもので、治療法のない難病といわれる病気」
そう話すと、そんなことになってることを知らなかったみんなは息を詰めつつ私の話を聞いてくれた。
「最初は目が見えづらいな、ぼやけるな位だったの。検査をして判明したのが小学二年生の時」
「その時に医師に言われたのが、十年後には目の神経萎縮が進んで見えなくなるだろうって事だった。今年がその十年目だったの」
クラスのみんなはこの話をどう受け止めてるのか、顔が見えない私には上手く伝えられるか分からないけれど。
今朝の要くんと一緒に歩いていた理由まで話すことにした。
「だから今の明るい暗い、物がある無いの見分けがつく位の症状になるのも分かっていたの。それで今は一緒に歩く練習をしてくれた要くんが居ないと出かけられないし、ひとりで歩くのはちょっと大変なんだ」
そこまで話すと、みんな詰めてた息を吐き出したような空気を感じた。
「堂々と腕を組んで歩いてきたから、何かと思ったけれどそういう理由だったんだね」
クラスメイトの問いに、私はうなずいて答えた。
「今はね、もう目の前に来てくれてもその人の顔や表情も見えないの。それくらいの視力なんだ。だから要くんに掴まって歩くために誘導してもらってたの」