眩しさの中、最初で最後の恋をした。

そうして、朝のホームルームが終わり卒業式の練習のため体育館へと移動する。

要くんに掴まって廊下を歩き出した時、他のクラスの女子の声が聞こえた。

「いくら校内公認だからってこんな見せつけなくてもいいのにね!」

肘に掴まって歩く姿は傍から見れば、腕を組んで仲の良さを見せている様にしか見えないだろう。
こうした事を言われるだろうことはわかっていたけれど、実際言われると少しキツイ。
要くんは人気があるから仕方ないかなと苦笑いしていると、肘を掴んでいる私の手をポンポンと撫でる温かな手。

「有紗、気にしなくていい。行こうか」
「うん。ありがとう」

そうしてゆっくり歩いて行き、階段を一歩一歩足先を確認しながら降りていく。
その姿に他のクラスの子たちがザワザワとしていく。
でも、私は一番神経を使う階段なので周りを気にする余裕はなかった。

その頃、私に向かって言った子に物凄い笑顔で日菜子が凄んでいたり、他のクラスメイトがゆっくり歩く私と要くんを気にせず早く移動するように声を掛けてくれてたりと助けてくれていた。

普段より時間がかかったけれど、無事に体育館へとたどり着いた。
今日は卒業生だけの練習なので、体育館は人が少ないからか寒さを強く感じる。

「結構寒いね」
「今日は外も冷えてるからな」

そんな会話をしつつクラスの席へと着くと日菜子が声を掛けてきた。

「有紗!席順私が隣だから式の間は私が誘導するわね!」
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