眩しさの中、最初で最後の恋をした。
温かい装備で望んだ三年生を送る会は、運動部がコントをしたり、軽音部は下級生のバンドに卒業生が乱入したりと実に楽しい雰囲気で進んで行った。
そして、終われば私達は午前中のうちに帰宅である。
今日はうちの親が用事があって出掛けていて夕方まで不在なので、親が帰宅するまで要くんの家にお邪魔することになっている。
「今日は有紗が来るから、母さんがお昼張り切って作るって言ってた。帰ろうか」
そうして、学校から徒歩十五分。
駅を通り過ぎて、坂道を上って脇道に入って少しすると要くんの家に着いた。
歩いてきたのは初めてだけれど、学校から結構近くて。
家に迎えに来てくれてから学校に行くというのが手間をかけさせていて申し訳なく思った。
お家について、お母さんが出迎えてくれる。
「要、おかえり。有紗ちゃん、いらっしゃい。有紗ちゃん?どうかしたの?」
そんなお母さんの問いに、要くんが私の顔を覗き込んだ。
「有紗、どうした?なんでそんな難しい顔してるの?」
私は思ったことを素直に言った。
「こんなに学校から近いのに、私の為に家まで迎えに来てもらって登校するのが申し訳ない気がして……」
私の言葉に要くんとお母さんは顔を見合わせ、その後お母さんが言った。
「有紗ちゃん。それ要がしたくてしてるから、卒業式の日までやらせてやって?夢だったんだって、彼女を家まで迎えに行って学校に一緒に登校するのが!乙女か!って感じよね」