眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「このクラスはみんな真面目で、優秀だったな。俺はこの一年見守るくらいだった。みんなそれぞれ、この先自分の道を進んでいくだろう」
先生はひとつ息をつくと、続けた。
「この先はこの三年間より困難や苦悩することも多くあるだろう。でもここで出会った仲間や友達とは何だかんだ長く付き合えるだろう。互いに支えあって歩いていって欲しい」
「みんな卒業、おめでとう!みんなの未来が輝かしくあるよう願っているよ」
先生の言葉はなによりの送辞となったと思う。
クラスのみんなで、連絡先を交換したりして一人ひとりここを旅立つ。
「汐月さん!私、汐月さんの歌声大好きだよ!夢、叶えて欲しい!私も頑張るね」
そんな声をかけてくれたクラスメイトたちに手を振り、私と要くんはゆっくりと歩いて行った。
「そういえば、要くんの夢って聞いてないな。要くんの夢は?」
私が聞くと、要くんは足を止めて答えてくれた。
「俺、理系に進むだろ?そこで教員課程もとって先生になるのが夢なんだ。中学の時の理科の先生が面白い人で、憧れて。中学校の理科の先生が夢というか、目標」
その答えを聞いて、私は自然と笑みを浮かべつつ言った。
「松島先生か。要くん面倒見がいいし、向いてると思う!」
私の言葉に要くんは照れたらしい、額をコツンと合わせてきた。