眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「俺だって初めて聞いたよ。有紗の進路希望。音大の声楽科を目指してるって」
何だかすごく、クラスで先に話しちゃったのを悔しがってる感じだ。
「あのね、病気になる前から私は歌うのが好きな子だったの。病気なってからもそれは変わらなくて、ずっと音楽教室にも通ってたの。だから私、今年遅れて受験生になるね」
私の言葉に、要くんは言った。
「それ、小さいころからの夢だろ?有紗は歌手が夢?」
「うん、いつかホールで歌うのが夢」
「応援するよ、放課後の歌姫!」
最後に茶化す言葉を入れてきた要くんだけれど、その声は温かくて私に力をくれた。
「うん、頑張る!私も先生を目指す要くんを応援するよ!」
私達は微笑みあって、再び歩き出した。
それぞれの夢と未来に向かって。