眩しさの中、最初で最後の恋をした。
エピローグ
高校の卒業から一年が過ぎた。
もうすぐ、春を迎える三月。
自宅で、私と遊びに来た要くん。
両親に、お姉ちゃんと宏樹くん。
全員が固唾飲んでパソコンをチェックしているお姉ちゃんの、言葉を待っている。
「出た!あった!有紗、おめでとう!合格だよ!」
そう、今日は私が受験した音大の合格発表の日だった。
視覚障害で弱視の私は、受験に際して特別措置を受けつつ試験を受けた。
そんな試験の結果、私は四月から無事に大学に通える事になった。
「おめでとう、有紗!」
「おめでとう」
家族から口々にお祝いをもらい、そのままお祝いとしてお父さんや宏樹くんは飲みだした。
あれ?お祝いにカッコつけて飲みたいだけじゃない ?
そんなお父さん達をクスクス笑いながら、合格通知を受けたことでみんなで楽しくその日を過した。
この一年で、私もすっかり白杖を使って歩くことが上手くなりひとりで外出することも増えた。
時間が少しかかるけれど、料理もできるしお裁縫はまだ難しいけれど編み物はかなり上手く編めるようになった。
見えなくなって手先の感覚がよくわかるようになって、編み物はそれなりの物を編めることが分かった。
そうした生活の中で受験のため音楽教室にも自力で通い、無事に大学入試を突破することが出来た。