眩しさの中、最初で最後の恋をした。

駅から水族館に向かって歩きながら、ついつい視線の先はいつの間にか自分と繋がれた要くんの手。

繋いで掴まれたら離されぬまま、気付けばそのままで歩いてきてしまった。

これは突っ込むべき?聞くべき?

ぐーるぐると考えていたら、横からプッと声がする。
横を見上げれば、笑いを堪えたような顔した要くん。

「なに?なんかおかしな事あった?」

そう聞けば、

「だって、有紗が百面相してるから。面白くって」

そう言いながら、とうとう声を出して笑い出した。

「そんなに笑わなくてもいいと思う!」

「うん、ごめん。でも有紗面白いし、可愛いわ」

言葉を理解すると、顔が熱くなってきた。
なに、サラッと可愛いとか言っちゃうかな!

「それで、コレは?いつまで繋いでるの?」

やっとの思いで聞くと

「ん?置いてくのも嫌だし、繋いでないと上手く歩幅合わせずらいし。ダメか?」

聞き方がずるいと思うのは私だけ?
でも、そんな言い方されると仕方ないから、ふぅと一つ息を吐き出して答えた。

「そう言われたらダメなんて言えない!けど、こうして歩くのはちょっと恥ずかしい……」

素直に感じたことを言えば

「そっか。ま、恥ずかしがってるの見てるとこっちは楽しいよ。とりあえず今日はこの感じで!」

何だか、押し切られてしまったのだった。
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