眩しさの中、最初で最後の恋をした。

ニヤニヤして聞いてくるので、私は渋い顔をして答えた。

「私が誰とも付き合う気がないのを知ってる癖に、そういうこと聞く?」

そう返せば、茜もここぞと言ってくる。

「だって、水木くん瀬名さんと松島くんと出かけて、松島くんと有紗が手をつないで歩いてたと目撃情報がはいったもんだからさ」

ボウルで卵を混ぜながら言う茜。
私も粉を振るいながら、返す。

「確かに日菜子達と出掛けたけど、カップルのデートに巻き込まれただけよ?何かあった訳じゃないもの」

この返しに神経を使ったのは言うまでもない。
何もなかった訳じゃない……。
ハッキリとは言葉にされなかったけれど、松島くんにはにおわされた。
私が避けつづけてること……。

「でもさ、今日のお菓子三人に持ってくんでしょう?」
「お腹すくって言ってたし、持ってくつもりだよ。どうせ私と茜だけで食べきれないじゃない」

そんな私の言葉を待ってたのか、茜は実にいい笑顔で言った。

「だよね!ならばこの茜さんに任せなさい!可愛くしてあげるから!」

口を動かしながらも手もしっかり動かしてた私たちは、すでに型に入れてオーブンに入れて焼き上がりを待つばかり。

こうして、逃げ場のない私は茜に捕獲されていじられるのだった。
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