眩しさの中、最初で最後の恋をした。
3人に詰めた物を、手提げに入れて調理室の片付けを終えて締める。
この時間ならサッカー部もテニス部も校庭だろう。
茜と職員室に鍵を返しに行って、昇降口で靴に履き替えて私は校庭へと足を向けた。
「じゃあ茜、またね!」
「うん、気を付けてね」
別れて、歩く午後の日差しもだいぶきつくなってきた。
どんどん夏らしくなっていく。
ついこの間この通りの木はピンクの花びらを咲かせていたのに、今は緑の葉を茂らせている。
木の上から、セミの鳴き声がしてきた。
「思いっきり夏って感じになったね」
思わず見上げて聞き入って、また歩こうと視線を先に向ければ元気よく走り回るサッカー部の練習風景が見えてきた。
「あんなに早く走り回るんだね、お腹減るわけだ」
フェンス越しに眺めていると、キーパーの水木くんが気付く。
「有紗ちゃん!珍しいね、どうしたの?」
その声にそこにいたサッカー部の面々がこちらを見て騒ぎ出す。
「あぁ!!マドンナが!マドンナが何故ここに!?」
「しかも、部長と仲良さそう!部長彼女いるのに!?」
そんな叫びが上がる中、また一人こちらに駆け寄ってくる。
松島くんだ。
「有紗、どうした?」
その顔には、汗が浮かびTシャツをめくって顔を拭いてる。
綺麗に割れた腹筋が見えて、色々とドキドキさせられる。