眩しさの中、最初で最後の恋をした。

「今日、久しぶりの部活で沢山お菓子を作ったから差し入れに。松島くんと水木くんの分しかないんだけど……」

2人に詰めたお菓子の袋を手渡す。すると、とってもいい笑顔でお礼を言ってくれた。

「有紗ちゃん、ありがとう!お腹すいてきてたからありがたくいただくよ!」

「有紗、ありがとう。助かる」

微笑む二人に私もニッコリ笑って言う。


「いいえ!練習頑張ってね!私、あと日菜子に持ってくから。また、来週」


そして、無事に二人に渡すと私は今度はテニスコートに向かって歩き出した。
日菜子のテニス部はクラブ棟の裏にテニスコートがあり、そちらで練習している。


校庭からは近い。


そちらを覗くと、日菜子が指示出しして、ラリーを始めたところだった。
見守っていると、気づいた日菜子が寄ってきた。


「有紗!珍しいね、どうしたの?」

寄ってきた日菜子に、ニッコリ笑っていう。

「ほら、お待ちかねのマドレーヌとパウンドケーキよ!」

「キャー、有紗!愛してる!」

「現金な」

笑い合いながらお菓子を渡すと、日菜子はとっても喜んでその場でマドレーヌを口へと運ぶと幸せそうな顔をした。

「あー。幸せ!美味しい!」


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