眩しさの中、最初で最後の恋をした。

「それで、問題は面倒そうな顔した黒髪のアイツよ!」

拳を握りしめて、ちょっと嫌そうな顔をする日菜子は珍しい。
険悪な仲なのだろうか?
ちょっと心配しつつ続きを待つ。

「アイツもサッカー部でエースストライカーで副部長。松島要。アレはあの見た目とあまり話さない態度からクールでカッコイイとか騒がれてるけど……。単なる面倒くさがりなだけよ。家が隣で幼なじみなの。不本意だけど!」

なるほど、日菜子と松島くんは幼なじみ。
この年頃なら幼なじみでも仲良し、よりかはギクシャクしたりするんだろうな。
良いなぁ、幼なじみ。
ちょっと羨ましい関係だ。

「もしかして、入学当初仲良くしてて周りに騒がれた系?」

疑問形で聞くと、ため息をつきつつ日菜子が答えてくれた。

「そうなのよ。それ以来お互い部活が忙しいのもあってやや疎遠ね。幼なじみで同い歳だけど兄妹みたいなもんで、お互いを意識なんてしたことも無いのに……。奴のルックスのせいで一年生の時大変だったのよ……」

ガックリ項垂れて机に寝そべった日菜子の頭を、よしよしと撫でてあげる。

「美男美女の幼なじみ同士には、そこそこ苦労があるもんなのね。そんなに気にしなくても、私がそばに居るわよ」

にっこり笑って言えば日菜子はうるっと瞳を潤わせて、ぎゅっと抱きついてきた。



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